
岐阜県高山市に鎮座する飛騨山王宮 日枝神社。地元では「山王さま」の愛称で親しまれ、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている「春の高山祭」を司る神社として知られています。
高山城下の南側を守る「総氏神」として、約900年もの長い間、この街に暮らす人々の営みと祈りをすぐそばで支え続けてきた場所です。
【飛騨山王宮 日枝神社】基本情報
| 公式 | こちら▶ |
| 所在地 | 岐阜県高山市城山156 |
| 問合せ | 0577-32-0520 |
| 参拝時間 | 9時~16時 |
| 拝観料 | 無料 |
| 駐車場 | 無料駐車スペース有り |
| 社務所 | 御朱印帳・御朱印・御守り・お札・絵馬など |
※撮影時の情報となります。
駐車場について

石段の左側の道を進むと、参拝者用の駐車場があります。
【飛騨山王宮 日枝神社】歴史と由来

飛騨山王宮日枝神社の創建は、永治元年(1141年)と伝えられています。社伝によれば、当時の飛騨国司であった平時輔が、近江国の日吉大社から神を勧請したことが始まりとされています。
戦国時代末期、飛騨国を平定した金森氏が高山城を築城するにあたり、神社は現在の城山へ遷されました。以後、日枝神社は高山城の鎮守として篤く崇敬され、城と城下町を守る重要な存在となります。
江戸時代に入ると、高山は幕府直轄地(いわゆる天領)となり、歴代の代官・郡代からも信仰を受けました。こうして日枝神社は、城下町南部の総氏神として地域に根づき、今日に至るまで「山王さま」の名で親しまれています。現在も、祭礼や日々の参拝を通して、地元の人々の暮らしと深く結びついた神社のひとつです。
【飛騨山王宮 日枝神社】ご祭神と御利益

主祭神は、大山咋神。
山や土地を司る神として古くから信仰され、五穀豊穣をはじめ、家内安全・厄除け・商売繁盛など、暮らしに関わる幅広いご神徳を授ける神として崇敬されています。
境内には天満社(学業成就)、稲荷社(商売繁盛)、恵比須社(福徳円満)などの末社が祀られており、さらに富士社では安産や子授けの信仰も伝えられています。こうした末社信仰を通じて、縁結びや安産など多様な願いを込めて参拝する人々の姿が見られます。
【飛騨山王宮 日枝神社】境内散策

神社への入り口は、石階段から始まります。

一の鳥居
境内は城山の斜面に沿って奥へと延びています。石段を上りながら社殿へ向かいます。
重厚な大鳥居をくぐり一歩足を踏み入れると、そこには街の喧騒を忘れさせる、杉木立の深い静寂が広がっていました。


手水舎

社務所(授与所)
【飛騨山王宮 日枝神社】社殿

二の鳥居

すがすがしいご神気が境内に満ちています。


二の鳥居の手前にあるお賽銭箱には、飛騨の匠が仕掛けた面白い演出があります。表面の「なみなみ模様」を正面の鏡に写して覗き込むと、不思議なことに真っすぐな線に見える目の錯覚を楽しめます。
この不思議な体験のあと、鳥居をくぐり石階段を登りきると、荘厳な拝殿が目の前に現れます。
拝殿

飛騨の匠の技を今に伝える拝殿は、1779年に再建された市指定の貴重な文化財です。
屋根下の横木(梁)には「カエルが足を踏ん張った形」の彫刻があり、職人の細やかな手仕事を見ることができます。
年月を経て落ち着いた木の風合いに、歴史の重みと確かな技術が静かに息づいています。
本殿

本殿は、昭和10年に造営。
気品ある建物です。周囲の巨木に見守られるようにひっそりと佇み、神域ならではの凛とした空気に包まれています。
【飛騨山王宮 日枝神社】境内社
富士社社殿

拝殿の右側に位置する富士社社殿は、境内でもひときわ目を引く「極彩色」の美しさが特徴です。

この建物はもともと日枝神社の「旧本殿」でしたが、昭和10年の大雨による裏山崩壊で倒壊し、さらに火災で周辺の末社も焼失するという悲劇に見舞われました。しかし、倒壊した本殿を修理し、昭和13年に現在の場所へ再建。まさに、困難を乗り越えて蘇った「再生の象徴」ともいえる社殿です。

こちらは三つの神社を一つに合わせた「相殿」となっていて、金刀比羅神社・富士神社・恵比寿神社の三社がお祀りされています。
金刀比羅神社▶大物主命・白峰大神(海上安全・商売繁盛)
富士神社▶木花之開耶姫命(安産・火難除け)
恵比寿神社▶事代主命(福徳・商売繁盛)
産土神社

富士神社に向かって左手に静かに佇むのが、産土神社です。お祀りされている神様、高皇産霊尊、神皇産霊尊は、万物を生み出す「創造」の神様として信仰されています。
昭和16年に竣工された社殿は小型で可愛らしい造りですが、その前には由緒ある古い狛犬が据えられており、独特の風格を漂わせています。
天満神社(末社)

拝殿の左手に鎮座する天満神社(末社)は、学問の神様として有名な菅原道真公をお祀りしています。
かつては「もみじ平」にありましたが、現在は境内の一角へと移されました。正面に掲げられた「管公廟」の扁額が、その威厳を伝えています。
この社殿の最大の特徴は、伏見稲荷大社を正面から見た姿をギュッと縮小したような、独特の造りにあります。本殿・幣殿・拝殿が一つに美しくまとめられた「流造」の様式に、職人の細やかなこだわりを感じることができます。
稲荷神社(末社)

拝殿のそばに鎮座する稲荷神社(末社)は、お稲荷さまとして親しまれる開運と商売繁盛の神様、倉稲魂命をお祀りしています。

昭和61年に造営されたこのお社は、商業の神様として地元の方々から厚く信仰されており、毎年、氏子の皆様から奉納された多くの幟が鮮やかに立ち並びます。
特に、毎年2月の「初午の日」には祭典が行われ、一年の開運を願う多くの参拝者で境内が大変な活気に包まれます。
【飛騨山王宮 日枝神社】参拝を終えて

まず感じたのは、杉木立に囲まれた境内の厳かな静寂でした。
観光地の賑やかさとは一線を画す、神聖で清々しい空気が漂っています。
約800年以上の歴史を持ち、高山の街を見守ってきた「山王さま」。歴史の重みに触れ、日々の平穏への感謝と決意を新たにしました。心が洗われるような、深く穏やかなひとときでした。