
神社と、お寺の寺号標が並んで建つ珍しい光景
岐阜県郡上市にある「長滝白山神社」は、1300年以上の歴史がある神社です。
明治維新以前は「白山中宮長滝寺」と言う寺院でしたが、神仏分離により「長滝白山神社」と「長瀧寺」に分離。
その後も同じ境内にあるため、現在でも神仏習合の姿を見ることが出来ます。

参道は同じですが、参道から右側が長滝白山神社で、左側が長瀧寺と言う風に分かれています。

大きな杉の木に囲まれた静かな境内には、国の重要文化財に指定された貴重な宝物も多く、地域の信仰の拠点として大切に守られ続けています。
【長滝白山神社】基本情報
| 所在地 | 岐阜県郡上市白鳥町長滝91 |
| 問合せ | 0575-85-2023 |
| 参拝時間 | 自由参拝 |
| 拝観料 | 参拝無料 |
| 駐車場 | 無料駐車場あり |
| 社務所 | 御朱印、お守りなど。 白山瀧宝殿の入り口前に授与所があります。 |
※撮影時の情報です。
駐車場について
長滝白山神社には、無料で利用できる駐車場が2か所あります。

一つ目は、長滝白山神社・長瀧寺の参道入り口付近にある「表参道駐車場」です。今回の参拝で利用したのもこちらで、境内に近く便利な場所にあります。
もう一つは、長良川鉄道の「白山長滝駅」のすぐそばにあります。どちらも無料で利用可能ですので、参拝の際は用途に合わせて選ぶことができます。
【長滝白山神社】歴史と由来

1300年以上の歴史を誇る長滝白山神社は、養老元年(717年)に泰澄大師によって創建されました。かつては「美濃馬場」として、白山信仰に励む多くの登拝者で賑わった歴史ある拠点です。
明治の神仏分離後も、同じ境内に「長瀧寺」が隣接しており、全国的にも珍しい神仏習合の面影を今に伝えています。
毎年1月6日には、国の重要無形民俗文化財「長滝の延年(花奪い祭り)」が開催されます。
【長滝白山神社】ご祭神と御利益

長滝白山神社のご祭神は、白山比咩大神(菊理媛神)、伊弉諾尊、伊弉冉尊の三柱です。
主祭神の菊理媛神は、万物を括り合わせる「縁結び」の神様として知られ、良縁成就や商売繁盛に強い御利益があるとされています。かつては白山登拝の拠点として栄えたことから、家内安全を願う信仰も厚く、人生の節目を繋ぐパワースポットとして親しまれています。
【長滝白山神社・長滝寺】境内巡り

江戸時代の境内マップ
境内には、神社とお寺の建物が見事なバランスで点在しています。
決して「混ざり合っている」という感覚ではなく、それぞれが独立して整然と並んでいるのですが、佇まいや醸し出す雰囲気が似ているせいか、驚くほど違和感がありません。
大まかに説明すると、参道は、神社とお寺の共有スペース。
参道から見て、正面と右側が「長滝白山神社」、そして左側が「長瀧寺」のエリア。それぞれが独立しながらも、一つの敷地内に共存しているのが最大の特徴です。
神社とお寺が互いに寄り添い、自然に調和しているような不思議と心が落ち着く光景です。
表参道

緩やかな登り坂の参道を進んで境内へ向かいます。

杉並木の参道を歩いていると、傍らに「蔵泉坊跡」といった看板が目に入ります。
今は空地や石垣が残るのみですが、かつてここには多くの僧侶たちが暮らし、修行に励んでいた建物がひしめき合っていました。建物が消えた今も、苔むした石垣に触れると、当時の熱気や白山信仰の圧倒的な規模が伝わってくるようです。

「蔵泉坊」のほかにも「持善坊」「若宮坊」など、かつての坊の跡地が点在しています。これらが「かつてここは巨大な宗教都市だった」という事実を伝えてくれる、貴重な歴史のピースとなっています。

参道を奥に進んで行くと、石の大鳥居があります。江戸時代に建立されたものです。
石本来の力強い質感がそのまま残っていて、巨杉の影の中でも、その存在感は際立っています。

大鳥居の奥には、美しい反りを持った石造りの太鼓橋が架かっています。大鳥居同様、江戸時代のものだそうです。橋の曲線と鳥居の直線が織りなす景観は、この参道でも指折りの見どころです。

石段を登り、いよいよ本殿へと向かいます。

石階段を登りきると、目の前に圧倒的な存在感で現れるのが長滝白山神社の拝殿です
白山瀧宝殿(授与所)

こちらの建物が「白山瀧宝殿」。
長滝白山神社や白山長瀧寺に安置されていた白山信仰ゆかりの神像や仏像群などを公開。間近で見物する事が出来ます。

- 開館時間:9時~16時30分
- 休館日:火曜(祝日の場合は翌日)・11月下旬ころ~4月下旬まで冬期休館
- 入館料:一般500円、小中学生300円
※詳細な休館日や最新の情報については、直接お問合せ下さい。

同じ建物内に、授与所があります。
【長滝白山神社】社殿
拝殿~パワスポ👏✨

深い森の緑に抱かれるように建つ拝殿は、派手な装飾を抑えた、質実剛健で気品のある造りです。
正面に立つと、背後の白山から流れてくるような、清々しくも鋭い空気を感じることができます。

現在の拝殿は明治の再建によるものですが、その歴史を遡れば、江戸時代の安永年間(1776年)にも火災からいち早く復興を遂げたという記録が残っています。幾度もの火災に見舞われながらも、そのたびに人々の信仰によって再建されてきた、まさに不屈の聖地といえる場所です。


天上には龍の絵などが並び、拝殿の中も見応えがあります。パワーがあると言う事なので、拝殿の中でしばらく過ごさせて頂きました。
確かに!迫力ある拝殿です✨ここに建ってみるとその迫力とパワーに圧倒される感がありました。

こちらは、拝殿まえの石灯籠です。江戸時代のものだそうです✨
本殿👏✨

本殿は、拝殿のさらに奥、一段高い石垣の上に三つの社殿が独立して並び立つ形式をとっています。これは霊峰・白山の三つの主要な峰(御前峰・別山・大汝峰)を神格化したものです。


建物自体は火災による再建(現在のものは大正元年完成)を繰り返していますが、この「三社が独立して並ぶ」という配置構成そのものは、平安・鎌倉時代の最盛期から変わることなく受け継がれている美濃馬場としての正統な形です。

白山千蛇ヶ池の霊泉✨パワスポ
毒素を出す作用のある霊泉

霊泉です。

場所は、拝殿の正面から見て「左側」、隣接する長瀧寺大講堂の向かって右側の奥に位置します。

この水は、白山の頂上にある「千蛇ヶ池」から湧き出していると伝えられています。伝説によると、昔、白山を開山した泰澄大師が、山に住む千匹の毒蛇をこの池に封じ込め、万年雪で蓋をしたとされています。この霊泉は、その神聖な池から流れ出た水であると語り継がれてきました。
【長滝白山神社】境内社
神明神社・稲荷神社

神明神社
日本の総氏神として、白山の神々が鎮座する聖域の門戸を象徴する存在です。白山登拝の拠点であるこの地において、国家規模の安寧を祈念し、個別の信仰を大きな秩序で包み込む役割を担っています。
稲荷神社
霊山信仰を支える麓の「民の暮らし」を司る神です。厳しい修行の場である白山において、五穀豊穣や日々の糧を保証し、修験者や地域住民の生命力を根底から支える慈愛の役割を担っています。
児御前社・竈神社

児御前社
白山開山の祖・泰澄を山頂へ導いた「先導神」の象徴です。参拝者が白山の深い神域へ入る際、迷うことなく神仏の御前へと至れるよう、精神的な道案内を務める役割を担っています。
竈神社(かまど)
生活の火と、聖域を焼き尽くす「火難」を制御する神です。1300年の歴史の中で幾度も焼失した長滝において、信仰の形である社殿を物理的な滅失から守り抜く「防壁」の役割を担っています。
長瀧天満宮

長瀧寺がかつて「白山信仰の学問拠点」として、多くの学問僧を抱えていた歴史を象徴する存在です。白山信仰の厳しい修行には「智恵」が不可欠であり、その智恵の守護神として天神様(道真公)を勧請したのが始まりとされています。
【長滝寺】境内散策
大講堂

白山中宮長瀧寺の大講堂は1910年に再建された木造建築で、白山三山の本地仏である釈迦・阿弥陀・薬師の三尊像を安置しています。

重要文化財の古像を収蔵する瀧宝殿とは別に、現在も法要や修行が行われる寺院の本堂として、直接手を合わせる信仰の拠点となっています。
瀧院

かつてこの地を支えた「六院」の一つ、瀧院です。
建物は明治の大火後に再建されたものですが、かつての宗教都市の姿を伝える遺構として、静かにその場に佇んでいます。
※六院とは、普明院・補陀落院・仙洞院・十禅院・浄土院・開厳院。白山信仰の美濃側拠点である長瀧寺は、平安時代から鎌倉時代の最盛期にかけて「六谷六院三百六十坊」と称される巨大な宗教都市を形成していました。その中核をなしたのが、以下の「六院」です。
薬師堂

大講堂のさらに奥、静かな場所に佇むのは、病気平癒の仏様を祀る薬師堂です。白山信仰の本尊の一柱である薬師如来が安置されており、古くから人々の心身の健やかさを守る祈りの場としての役割を担ってきました。
賓暦義民碑

江戸時代、郡上藩の過酷な増税に抗議し命を捧げた「郡上騒動」の義民たちを称え、その勇気を伝えるために建立された慰霊碑です。
宝篋印塔

江戸時代後期の1833年(天保4年)に建立された石塔です。
参拝を終えて

参拝を終えて境内を振り返ると、ここは何かを強く主張する場所ではなく、長い歳月をかけて人々の祈りが積み重なってきた「聖域」なのだと強く感じました。社殿や参道、そして隣り合う長瀧寺も、決して華やかさに頼ることなく、祈りの場として必要とされてきた姿をありのままに今に伝えています。
神社と寺院が同じ参道を分かち合い、一つの境内に共存する光景は、歩みを進めるごとに自然と心に馴染んできます。白山を仰ぎ見るために整えられた配置や、幾多の祭礼が重ねられてきた境内の広がりからは、この地が歩んできた深い信仰の歴史が、言葉を介さずとも静かに伝わってくるようでした。
今回は境内の佇まいを辿る参拝となりましたが、次回は白山瀧宝殿に足を運び、保存されている貴重な文化財をゆっくりと見学したいと思います。