島根県(県別) 島根県(神社)

【出雲】朝山神社参拝記「禍つ神」が息づく静かなる神域へ(島根県出雲市)

山の中に静かにたたずむ朝山神社は、昔から神在月と深く関わる社として語られてきました。参道を歩くと、木々の間から差し込む光が優しく、長い時間を重ねてきた神社ならではの落ち着いた空気が広がります。

出雲大社から少し離れた場所にありますが、この地ならではの歴史が息づく場所で、ゆっくりと過ごす時間が心地よく感じられました。

 

【朝山神社】基本情報

所在地 島根県出雲市朝山町1404
問合せ 0853-48-0201(朝山コミュニティセンター)
参拝時間 自由参拝
拝観料 無し
駐車場 神社側に広い無料駐車場あり
社務所 境内に社務所はありましたが無人のようです。ご朱印に関しては、拝殿の張り紙に詳細が書いてありました。

※撮影時の情報です。

駐車場について

鳥居の近くに駐車できるスペースがあり、車での参拝も比較的しやすい場所です。

車のナビ設定で来ましたが、道の細い区間が続き、対向車が来ないかと冷や冷やで運転しました。お車の方は気を付けてご参拝下さい。

 

【朝山神社】とは?

朝山神社は『出雲国風土記』に「淺山社」と記される古い社で、長い歴史をもつ神社です。山の上に建ち、出雲ならではの神話と深くつながる場所でもあります。

まつられている神様は次のとおりです。

  • 眞玉著玉之邑日女命:出雲国風土記に登場する、この地ゆかりの姫神。
  • 神魂命:姫神の父神で古くから「むすび」の働きをつかさどうる神。
  • 大穴牟遅命・大己貴命:主祭神の夫神と伝えられ、出雲大社でまつられる大国主神と同じ神様。

大己貴命がこの山に毎朝通われたという風土記の物語から、「朝山」という名がついたと伝えられています。

yuriharu
yuriharu
神仏研究家・桜井識子さんの著書で「禍つ神」が祀られていると知り、興味が湧いて参拝しました。出雲大社の神在祭中に訪問した朝山神社は、煌びやかさはないものの、素朴で静かな雰囲気が魅力的な素敵な場所でした。

 

【朝山神社】と神在祭の関係


【朝山神社】本殿

旧暦十月の神在月になると、八百万の神々が出雲へ集まると伝えられています。朝山神社では、この月のはじめに神迎祭が行われ、十日まで神在祭が続きます。十日の神送祭では、神々を稲佐の浜へお送りする行事が受け継がれてきました。山の上にある静かな社が、この時期には少しだけ特別な意味をもつように感じられます。

一方の出雲大社では、神々が集まったあとに神在祭が続きます。期間中は縁結びなどを話し合う「神議り」があると語り伝えられ、最終日の神等去出祭では神々が全国へ旅立つとされています。朝山神社と出雲大社は、それぞれの時期に大切な神事を守りながら、神在月の流れをつないできた社です。

 

【朝山神社】ご利益

主祭神である姫神にちなみ、良縁や家庭の和を願う人が訪れます。あわせて、配神の神魂命は「むすび」の神として伝えられ、大穴牟遅命・大己貴命(大国主命)は国づくりの神として親しまれています。風土記に伝わる縁は、今もお参りの気持ちと自然に重なるようです。

yuriharu
yuriharu
識子さんの著書によると、朝山神社の神様は「禍つ神」なので、病気を引き起こす力がある反面、その逆に病気を治す力もお持ちなのだとか。そのため、病気平癒祈願にご利益があるそうです。

ただし、神様の性質上、「退屈な時に参拝にくれば治してやってもいいよ」というスタンスらしいです。

 

【朝山神社】境内めぐり

大鳥居

大鳥居です。まっすぐに社殿へと続く石階段の参道がとても印象的。

 

参道

石段は高すぎず、歩くたびに葉の音がやさしく重なり、山の神社ならではの落ち着いた雰囲気が漂っていました。

 

神門(隋身門)

参道の先には神門があり、穏やかな佇まいで参拝者を迎えてくれます。

隋身門の中には、右大臣さまと左大臣さまがお祀りされていました。

 

手水舎

手を清めてから、拝殿へと向かいます。

 

拝殿

朝山神社の拝殿は、山の静けさに溶け込むように建っています。派手な装飾はありませんが、木の質感がやさしく、雨や風を受けながら長い年月を過ごしてきた落ち着いた佇まいが印象的でした。

 

本殿

拝殿の奥に進むと、朝山神社の本殿が静かに建っています。

華やかさよりも素朴な美しさがあり、山の社らしい穏やかな気配が本殿の周りにやわらかく広がります。

 

境内社

船子神社

ご祭神・猿田彦命
ご利益・交通安全、方位除け、五穀豊穣、事業開運、学業成就、縁結び、夫婦円満、所願成就、 芸能

 

星宮神社・杉尾神社・朝山十九社

■星宮神社
ご祭神・皇之命
ご利益・五穀豊穣、商売繁盛、国家安寧、 殖産振興など

■杉尾神社
ご祭神・豊受姫命
ご利益・家内安全、無病息災、商売繁盛など

■朝山十九社
ご祭神・八百萬神
神在祭で、神様方が宿泊されるご宿社。

ちょっと気になったのが、境内社のお社。冬対策なのか長めの足が付いていますが、お社に足が付いてて今にも走り出しそうな雰囲気...(^^♪初めて見たお社の形です。

 

社務所

社務所は無人のようです。

御朱印について

境内に社務所はありましたが、閉じている感じでした。御朱印やお札、お守りなどはありません。

ただ、御朱印については、拝殿の前に受け取り方が書いてありました。

申込用の送付用封筒が設置されています。

封筒に、郵送先の郵便番号、住所、名前を記入し、御初穂料を入れてクリップで口を閉じ、賽銭箱に納めます。棒を使って賽銭箱の底まで落としてください。とかいてありました。

お届けまでに日数を要する場合があるようですが、郵送で届けてくれるようです。切手代も入れる事をおススメします。

神在祭の時は、神在祭にお供えされたお米のお下がり「御饌米」も入っているようです。

 

雲井神苑

私は今回、雲井神苑は行きませんでしたが、徒歩2分ほどで日本海の景色を見ることが出来る広場に行けるようです。

 

【朝山神社】参拝を終えて

今年で出雲大社の神在祭に行ったのは3度目。最初の頃は、出雲大社に参拝するだけでいっぱいいっぱいで、他の神社仏閣を巡る余裕がありませんでした。今年は、周辺の神社に焦点をあて、島根県へと伺いました。

朝山神社は、とても素敵な参拝となりました。山の静けさに包まれながら、出雲の神在月と深く結びついてきた社です。特別に何かを演出するような場所ではありませんが、長く大切にされてきた歴史をそっと感じられる落ち着いた雰囲気がありました。出雲を訪れる際に、静かな時間を過ごしたい方に向いている神社だと思います。

 

-島根県(県別), 島根県(神社)