瀬戸内海に浮かぶ半島状の山「屋島」。その山頂にたたずむのが、四国八十八ヶ所霊場の第84番札所屋島寺(やしまじ)です。
鑑真和上による開基、弘法大師の中興、源平合戦ゆかりの舞台、そして“たぬきの神様”の伝説――。歴史と物語が重なり合う特別なお寺での参拝は、とても思い出深く心に残るひとときとなりました。
基本情報
所在地 | 香川県高松市屋島東町1808 |
問合せ | 087-841-9418 |
参拝時間 | 終日参拝可能 |
拝観料 | 無料 |
駐車場 | 屋島山上観光駐車場 普通車300円 |
寺務所 | 7時~17時 納経も同時間 |
授与所 | 御朱印(納経印)・御守り・お札・絵馬・お遍路グッズなど |
宝物館 | 9時30分〜16時30分 (大人500円、中学生以下300円) |
※訪問時の情報です。最新情報は事前にご確認ください。
駐車場と参拝ルート
屋島寺を訪れる際、多くの参拝者が利用するのが 屋島山上観光駐車場。ここから歩いてすぐの場所にある 東大門 が最寄りの入口です。
屋島山上観光駐車場(有料駐車場)
■料金:普通車300円
駐車場から屋島寺へ向かい、鮮やかな朱色の門、東大門をくぐれば境内へと続く参拝ルートが広がります。
屋島寺の正式な正門は南側の 仁王門。仁王像が立つ山門をくぐり、参道を歩くと歴史を感じながら本堂へと向かうことができます。どちらの門から入るかで雰囲気が変わるので、時間に余裕があれば両方のルートを楽しむのもおすすめです。
私は正式にご挨拶をしたかったので、まずは東大門から入り、その後あらためて仁王門をくぐって参拝しました。。。
第84番札所 南面山 千光院 屋島寺
宗派 | 真言宗御室派 |
ご本尊 | 十一面千手観世音菩薩 (国指定重要文化財) |
開基 | 鑑真和上 |
創建 | 天平勝宝年間(749〜756) |
真言 | おんばさらたらまきりく |
屋島寺の歴史と由来
屋島寺の始まりは奈良時代。唐から渡来した高僧 鑑真和上 がこの地にお堂を建てたのが起源とされます。
その後、平安時代に 弘法大師・空海 が伽藍を現在の地に整え、本尊・十一面千手観音菩薩を安置。以来、四国八十八ヶ所の大切な札所として受け継がれてきました。
また、屋島は 源平合戦 の舞台としても名高い場所。那須与一の「扇の的」や源義経の「弓流し」といった名場面の伝説が残り、歴史好きには特に心惹かれるお寺です。
ご利益と信仰
- ご本尊・十一面千手観音菩薩
家内安全、厄除け、交通安全など、幅広く人々を救う観音さま。国指定の重要文化財です。 - たぬきの神様・蓑山大明神(太三郎狸)
四国狸の総大将と呼ばれる伝説の狸。夫婦円満・子宝・縁結び・家庭円満のご利益があり、全国から参拝者が訪れます。境内には夫婦狸の狛狸や狸塚があり、狸のお守りも人気です。
【蓑山大明神】伝説のたぬき・太三郎狸(ジブリアニメのモデルにも)
屋島寺に祀られる 太三郎狸 は、日本三名狸の一つに数えられる存在。
弘法大師が屋島で道に迷ったときに案内したり、住職の交代の折には夢に現れて寺の安泰を告げたりと、屋島寺と深い縁を持つ伝説の狸です。
本堂のすぐ横には、仲睦まじい姿をした夫婦狸の狛狸が並び、足元には子狸やおっぱいを飲むベビー狸の姿も。狸には珍しく「一夫一婦制」を守るといわれることから、縁結び・夫婦円満・家庭円満のご利益で広く信仰されています。
赤い鳥居をくぐると石造りの祠があり、その中に狸の神様が鎮座。
さらに祠の横には、参拝者が奉納した無数の狸の置物がずらりと並び、信仰の厚さを感じることができます。かわいらしくも神聖な光景に、思わず笑顔になれるスポットです✨

なんとジブリ映画とも関係が・・・
この太三郎狸はジブリ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』に登場する「太三朗禿狸」のモデルといわれています。映画では四国狸の長老として登場し、999歳の大狸として源平合戦を語る場面も。まさに屋島の歴史と伝説を映したキャラクターです。
境内の見どころ巡り
仁王門(山門)
参道の入口にそびえるのが「仁王門」。両脇には力強い仁王像が構え、訪れる人を迎えてくれます。
石碑には「四国八十八ヶ所 第84番」と刻まれ、これから霊場を巡る方も、参拝の心が引き締まる場所です。
四天門
仁王門をくぐってさらに進むと現れるのが「四天門」。
四方を守る四天王(増長天・持国天・多聞天・広目天)が祀られ、厄を払い清らかな気持ちで本堂へと導いてくれる門です。唐破風の屋根が印象的で、写真映えも抜群。
門の正面にいるのは東の持国天と南の増長天。そして門の裏側には、北を守る多聞天(毘沙門天)と西を見守る広目天が控えています。寺全体を包み込むように守護する配置で、仏の世界ならではの格式と力強さを感じさせます。
東大門
屋島山上観光駐車場から屋島寺へ参拝する際、最初に目に入るのが鮮やかな朱塗りの東大門です。瓦葺・切妻造の三間一戸八脚門 という伝統的な建築様式を持ち、堂々とした造りです。
東大門から入ると、千躰堂や三躰堂、一願不動尊、大師堂などを経て本堂へ向かう参拝ルートとなります。
鐘楼(鐘楼堂)
鎌倉時代の1223年に鋳造された梵鐘「平家供養の鐘」が吊るされ、国の重要文化財に指定。
本堂
屋島寺の中心となる建物が本堂です。堂内には本尊の十一面千手観音菩薩が祀られています。
鎌倉時代の建築様式を今に伝える堂々とした入母屋造。黒漆と朱塗りのコントラストが美しく、国指定重要文化財にもなっています。
寺務所(納経所)
参拝を終えたら立ち寄りたいのが「寺務所(納経所)」。御朱印やお守りをいただける場所で、巡礼の方にとっては欠かせません。屋島寺限定のかわいい狸のお守りもあるので、お土産にもおすすめです。
ロウソク・お線香立て、その下の鬼(邪鬼)
本堂・大師堂前にある仏具スペースには、ロウソク立てと線香立てがあります。
お遍路さんには詳しくないのですが、興味もあり少し調べたところ、
山門で手を合わせ一礼して境内に入る→手水場で手と口を清める→鐘楼で鐘を2回撞く→本堂でお参り→ろくそく1本・線香3本・お賽銭・納札を納める→大師堂で本堂と同じお参りをする→納経堂で墨書と御朱印を頂く→山門を手を合わせ一礼して左足から出る |
と言う作法だそう。
う~ん...かなりすっ飛ばして、ロウソクとお線香を3本納めて終わりにしました。お寺さんにお参りする時の作法もまだ慣れていないので、これから勉強せねば...と反省しました。
お線香の立て台に、邪鬼(鬼の像)を発見✨「悪を押さえて善を支える」象徴なのだそうです。
七福神
大師堂北側に七福神が並び、福徳や商売繁盛、長寿などのご利益が信仰されています。
一願不動尊・三躰堂・石仏
「ひとつだけの願いを心を込めて祈れば叶う」と伝えられるのが、一願不動尊です。周囲にはお地蔵さまや観音さまが並び、静かで厳かな祈りの場となっています。
そのすぐ横にある三躰堂には、釈迦如来・阿弥陀如来・そして屋島寺の開基である鑑真和上が祀られています。
参拝を終えて
屋島寺は、鑑真和上の創建と弘法大師の中興、源平合戦の舞台、そして狸伝説まで、歴史と信仰が幾重にも重なる特別なお寺でした。
凛とした本堂、歴史を物語る宝物館、瀬戸内を一望できる絶景、そしてユーモラスで親しみやすいたぬきの神様。
「歴史と物語、景色と祈り」が同居する場所で、心豊かな参拝を体験できます。
歴史に触れ、景色に癒やされ、ちょっと不思議なたぬき伝説に微笑む――そんな“屋島寺らしさ”を存分に味わえる参拝でした。
次は季節を変えて、また訪れたくなるお寺です。
お月見たぬき
趣味で描いているイラストを投稿しています!
今回は、たぬきの神様にちなんで「お月見たぬき」を描いてみました✨ よかったらご覧ください♪